トレーサビリティーとは「足跡を追う(トレース)」と「できること(アビリティ)」を合わせた言葉で、「追跡可能性」と訳されます。食品の取扱いで、流通から生産現場までさかのぼりその食品の履歴を見ることが出来ます。
食品自体の安全性を確保するHACCPに対して、トレーサビリティーは食品流通における履歴と出入を検索することを可能にした仕組みであると言えます。食品に張られたラベルが信用できるものかどうかを判断するには、生産現場まで確実にたどることができる仕組みが不可欠です。現状では、生産現場から消費者までの間で、だれがどのようにそのラベルの内容を保証しているのかが不透明となっています。トレーサビリティーの導入によって、企業への商品の入りと出の情報がきちんと関連付けられ、表示への信頼性が確保されるとともに、事故があった場合の原因究明や回収が迅速に実行されることが期待されています。
このように、客観的に食への安全と安心が保証されるシステムとして注目を浴びている一方で、幾つかの問題点も残っています。一つ目は、表示の信頼性を確保する上で、各企業の自己認証だけで十分かという点です。第三者機関による認証など、情報の信頼性を確保できる仕組みがあれば、さらに有効と言えます。二つ目は、トレーサビリティーを十分に機能させる上で、情報の公開が欠かせない点です。企業間だけで情報を保管していても、その情報が外部に公表されないのでは、本当の安心を消費者に提供することは難しいと思われます。三つ目は、トレーサビリティーは各国でさまざまな方法が試行されている草創期にあるという点です。トレーサビリティーは重要なシステムとして位置付けられ、近い将来、世界標準が確立されることは間違いないでしょう。日本が戦略的にこの標準化を主導できれば、IT産業の振興も図ることができ、その相乗効果は大きなものとなる可能性があります。
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